サイト名

春光学園は神奈川県横須賀市にある児童養護施設です。子どもたちの幸せと心豊かで健やかな発達を保証し、自立を支援しています。

お問合せ社会福祉法人 春光学園
〒238-0026 横須賀市小矢部2丁目14番1号
046-851-2362
トップ >春光学園について> 園長あいさつ

園長あいさつ

平成27年度、当法人は創立70周年の節目の年を迎えた。我が国の戦後70年の節目の年に重なる。当時有数の引揚港であった浦賀港には、多くの兵員等が引き揚げてきた。その中に、南洋諸島(フィリピン、パラオ、サイパン等)で、両親と同胞を亡くした孤児達がいた。彼等は極度の栄養失調状態にあり、疥癬が全身を被い、歩行すらできない子ども達であった。引揚孤児達の惨状を伝え聞いた創立者である樋口宅三郎(神奈川新聞社の創立者で社長)は、自ら収容所を訪れたところ、噂に倍する悲惨な実情に驚愕したという。樋口は、横須賀隣人会(当法人の前身。大正11年創立で、関東大震災後に貧困層の市民を救済するために授産事業と保育事業を展開)の私財を投げ打って孤児達の救済に取り組むことを決意した。敗戦間もない昭和20年12月1日のことである。栄養失調状態から立ち直ることなく2名の幼子が亡くなったというが、食糧難の中、多くの孤児達のために食料を確保するには、並々ならぬ先人達の献身があった。法人は、こうした先人たちの取り組みを記録に残し、これまで法人を支えていただいた多くの方々に感謝の気持ちを伝えることを目的に、創立70周年記念事業として、記念誌の発刊と記念式典の開催に取り組むことにした。お蔭様で、多くの方々に記念誌を届けることができ、記念式典には750名もの方々に参加していただき盛大に祝うことができた。あらためて、この場を借りて、お礼を申し上げたい。
神奈川県においては、児童相談所が受理した虐待相談件数が急増している。反面、施設に入所する子どもの数は減少傾向にある。学園は、入所数が減少したことに伴い、今年度、はじめて暫定定員となり、定員が80名から78名になった。こうした傾向は、神奈川県所管地域でも同様であり、暫定定員になっている施設が少なくないと聞くと、児童相談所が社会的養護を必要とする子ども達を適切に公的保護に結び付つけているのだろうかという疑問が湧く。最近の国会の論戦を聞くと、厚労大臣が家族的養育に傾斜し、特別養子制度や養子縁組を奨励する発言に終始して、児童福祉施設のことには全く触れない。そうした脈絡の中で、大臣自らが、「社会的養護の課題と将来像」の全面的な見直しを示唆する発言しているのを聞きながら、その線上に特別養子制度や養子縁組の奨励があるとするならば、どうみても実際の子ども達の深刻な問題状況を認識した上での論戦とは思えない。全国的に見ると、里親制度が一時的に振興している例はあるが、脆弱化した現代の家族にあって、果たして、継続的に社会的養護を必要とする子ども達を支えきれるのだろうかと思う。60余年、日本的な風土の中で、里親制度が思うように振興してこなかった歴史があることも事実であり、このことの説明なしに、特別養子制度や養子縁組を奨励し過ぎる発言を聞くと、危惧だけが大きくなるのである。それほどに児童養護施設に入所してくる子ども達の問題状況は深刻なのである。
最近の児童養護施設の大きな悩みのひとつに慢性的な人手不足がある。児童養護施設に就職してくる新採用職員が、最初に体験するのは、考えていた子ども像と現実の子ども達の姿とのギァッブである。子ども達と接することが予想以上に難しく、達成感が得難いと言うのである。これが児童養護施設に職員が根付かないひとつの理由になっている。毎年卒園して行く子ども達を見ていると、自立に辿り着くまでには、実に多くの試行錯誤があり、逸脱が繰り返されていたことが分かる。そうした子どものまわり道に付き合いきることなしに、そう簡単に達成感は得られないのである。退園した子ども達の多くが外に出てみて学園は良かったと言って懐かしむのである。或る子どもは外に出てみないと学園の有難さは判らないとも言ってくれる。職員の支援が着実に子どもを支えていたことが分かる。今年も1~2名の職員の採用を考えているが、我こそはと思う人の応募を期待したい。それには、職員の待遇改善にも肝に銘じなければならないと思うこの頃である。



児童養護施設 春光学園
  施設長 小林秀次

春光学園について

ページのトップへ戻る