児童養護施設としての課題
児童養護施設とそこに入所している子どもたちが今置かれている現状と課題
心のケアが必要な子どもたち
子どもたちを取り巻く環境が変化し、施設に入所してくる子どもたちの抱えている問題も複雑化しています。虐待を理由とした入所の増加により、児童養護施設は生活だけでなく治療的役割を必要とする場へと変わってきています。
愛着という人間関係の再形成と信頼関係を築いていく必要のある子どもたち、発達リスクを抱える子ども、精神科等医療機関に通院する子どもの数も年々増えています。
今、児童養護施設には多様化した機能と専門性を求められているのです。
子ども虐待とは・・・
子どもの虐待には身体的虐待、心理的虐待、性的虐待のほか子どもの心身の発達を妨げるような著しい減食や長時間の放置などのネグレクトがあります。
虐待は暴力によるけがや傷だけでなく、子どもに情緒や行動、性格形成面に深刻なダメージを残します。

改善が必要な子どもと職員の置かれている状況
- 一人ひとりの子どもたちが安心して生活できる場であること。
- 誰もが愛され、信頼され、守られていることが感じられること。
- 職員はかわらずに子どもたちの成長を子どもたちのそばで見守り続けていくこと。
- 継続的なかかわりと個別的なケアが出来ること。
・・・大事なこと、必要なことはわかっているのですが・・・・・
改善が必要な児童養護施設の住環境
規定は一室十五人以下!!
一人当たりの面積は3.3平米といわれていますが・・・・施設内には子どもの部屋となるべき空間だけではありません!たとえば食堂、事務室、園長室、会議室、玄関、廊下、トイレ、洗濯場などなどこれらを定員×平米数から引いていかなければなりません。決して十分な空間があるわけではないのです。
幼児から高校生まで二段ベット利用したり、畳が見えなくなるほど布団を敷き詰めたり・・・限られた空間での生活なのです。子どもたちが生活する空間は決して十分とはいえません。
改善が必要な職員配置基準
職員の配置基準は昭和51年から変わっていません
3歳以下には2対1,3歳以上4対1、学童6対1が職員の配置最低基準です。
子どもたちの人数と配置基準値を見合わせて出る職員数は一日に勤務する職員数ではありません。児童養護施設は24時間対応です。職員は24時間を交代制で勤務しています。もちろんお休みもありますから1日にそれぞれの時間、子どもたちのそばにいる職員は数名です。
これが普通の家庭だったら・・・30人兄弟を3人で見ていく・・・なんて!
子どもたちのために・・・頑張れば頑張るほど増える時間外勤務!
幼児、小学生、中学生、高校生それぞれの学校行事、生活、進路、家庭、児童相談所、医療、起床から就寝まで、オムツにトイレに、食事対応、入浴、洗濯、掃除に学習、そして夜間対応などなど。
制度と現実。足りない職員数。オーバーワークに次ぐオーバーワーク。熱意があればあるほど疲弊し、解消されずに積み重なって行く。施設職員は長く続けていくことが難しいのが現状です。
- 子どもたちのゆとりある生活空間を確保したい!でも・・・建て替えのための資金がない!
- 子どもたちに個別的なかかわりとケアを! でも・・・人がいない!
- みんなみたいに遊びに行きたい! でも・・・資金がない!
- 進学したい! でも・・・資金がない!
- もっともっと子どもたちと関わりたい! でも・・・時間がない!
- 職員数を増やしたい! でも・・・お金がない!
- 仕事をずっと続けたい! でも・・・もうもたない!!
個人の努力や個々の施設努力ではどうにもならない状況になっているのです。
現在の制度では、人、空間、環境、財政面、子どもたちのために安心安全な暮らしを提供できる十分なものではありません。
このページを開いてくださった方々へ
これは児童養護施設が抱える問題のごく一部です。
児童養護施設の現状を少しはお伝えすることが出来たでしょうか
ながながお付き合いいただいたこと、感謝いたします。そしてお願いです。
今この状況に身をおいている子どもたちのためにもこれからの子どもたちのためにも、皆様の一層のご理解と、ご協力をお願いいたします。一日も早く制度改革がなされますように。